そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





今だけは、私たちはただの高校生。

…でも、これが終わったらまた、若頭と護衛に戻る。


分かってる。

分かってるのに。



「…………蓮。」



名前を呼ぶと、蓮がこちらを見る。


「ん?」


どうして、そんな顔するの。


優しくてあたたかくて。

まるで——好きだって、言われてるみたいな目。


自分で思って、自分で苦しくなる。


……あぁ、もう。

ほんと、やだ。


胸の奥に溜まっていた感情が、

静かに、でも確実に溢れ出してくる。



…好き。


好き。


好きだよ。



ぎゅっと、無意識に蓮の服の袖を掴んでいた。


そのまま逃げ場を探すみたいに、

額を蓮の肩口に押し当てる。



「どうした…?」



いきなり距離を詰めたから少し驚いていたけど、突き放す素振りは一切なくて。

その声も、甘く優しい。