そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





自然にまた手を繋がれて、人混みの中を歩き出す。

……側から見たら。


どう見ても、恋人だよね。


空を見上げると、花火の準備を知らせるアナウンスが流れていた。


ちらっと蓮の方を見ると、夜の光に照らされた横顔が、昼間よりもずっと大人っぽく見えた。



………こんな楽しい時間が、


ずっと続けばいいのに。



人混みから少し外れた、小さな神社。


石段を上った先にある縁側は、思った以上に静かだった。

遠くから聞こえる屋台の声と祭囃子が、風に溶けて届く。



ここなら花火もよく見えるし、人もほとんどいない。

周りにバレるかも、なんて気にしなくていい場所。


縁側に並んで腰を下ろすと、木の感触が浴衣越しに伝わってきた。

夜空を見上げながら、私はふと息をつく。


…なんか、あの時のこと思い出すな。



「……修学旅行、彩葉と来れて良かった」



不意に、蓮がそう言った。


横顔を見ると、柔らかい表情をしていて。

昼間や人前で見せる顔とは、少し違う。


……私も、同じだよ。

声には出さず、心の中で答えた。



「帰りたくねーな」



ぽつりと落とされたその言葉に、胸が少しだけ締め付けられた。