そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「ありがとうございます」


でも、否定する前に蓮が爽やかな笑顔でそんなこと言って。

…否定、しないんだ。



店員さんは完全に私たちをカップル扱いのまま、

「花火大会、楽しんでくださいね〜」

なんて言って送り出してくれる。



「行くぞ」



そして蓮は自然に私の手を取って、人混みの方へ歩き出した。


当たり前みたいに。

まるで、本当に恋人みたいに。



「ていうか、ほんとにこれ大丈夫…?!もし、私ってバレたら……」

「人多いし、彩葉も男装の時と雰囲気だいぶ違うし、バレねぇだろ」



……正直、リスクは高い。


蓮がどうしても浴衣がいいって言うから着たけど。

心のどこかで、ずっと落ち着かない。



「今日ぐらい」



ぐいっと、繋いだままの手を引かれて。



「普通の女の子として俺にエスコートされてりゃいいんだよ」



そのまま、手の甲に——

ちゅ、と、軽いキス。


……っ。


心臓が、うるさい。

さっきからずっと、落ち着く暇がない。



友達以上…恋人未満。



…もう、これ、ほんとにデートじゃん。