そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




「抱きしめていい?」


「──え?!」



聞いてきたくせに、

有無を言わさず腕が回ってきて、視界が一気に蓮で埋まった。


いや、え、いきなり、なにっ…。


「ちょ、ここ、お店の中っ!」


胸元をぐっと押し返すと、逆に更に腰をぐいっと引き寄せられる。

じっと私を見つめる熱を帯びた視線に、心臓が跳ねた。



「お前、可愛すぎる。やっぱ浴衣着せて正解だった」



ち、ちかいよ……!

でも、心のどこかでは褒めてもらえて嬉しいなんて、思ってしまって。



「いつも男装ばっかだから、余計にやばい」



そう言って、少しだけ照れたみたいに視線を外すのが余計にずるい。


でも、これは私も言わせて欲しい。


浴衣姿の蓮は、普段よりも落ち着いて見えて、

背が高くて肩幅があって。

柔らかい色味の浴衣が、逆に大人っぽさを引き立てている。


……かっこいい。


普通に、やばい。



「彼女さん、とってもお似合いですね〜!」



店員さんの声に、びくっと肩が跳ねた。

恥ずかしさが一気に込み上げて、思わず蓮と距離を取る。


というか、か、彼女……!?