「ほら、これ」
差し出されたのは、鹿せんべい。
恐る恐る差し出すと、鹿達は嬉しそうに寄ってくる。
……撫でてほしいのかな。
そう思って、背中の辺りにそっと触れてみた。
そしたら、蓮が。
「鹿のくせに、羨ましー。俺まだ撫でてもらったことねぇんだけど」
…なに、言ってるんですか…!?
「…鹿に、張り合われても」
「張り合ってねーよ」
いや張り合ってたよ。
そう言いながら距離を詰めてくる。
人目があるから触ってはこないけど、距離が近づくと身構えてしまう。
……というか。
ここ三日間。
なんで、こんなに普通に楽しんでるんだろう。
私は仕事でついてきてるだけなのに。
今日に関しては、律もいない。
ほんとに、蓮と2人きり。

