そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




「……また、“後味の悪い仕事”?」


核心を突くと、律の目がわずかに細くなった。


そしてゆっくり息を吐く。

煙と一緒に、何かを誤魔化すみたいに。



「大したことじゃないよ。ちょっと、綺麗じゃない仕事だっただけ」



……やけに言葉を濁すじゃん。

また何か、誤魔化そうとしてる。


「それって、律がやらなきゃいけない仕事なの?」


まっすぐ、目を見て問いかける。

逃がさないつもりで。


「…そういうの、専門の係がいるでしょ。それに、功績トップの私たちはそれなりに仕事を選べるはずだし」


律は答えたがらない、でも、引くつもりはない。



「……俺のエゴだよ」



観念したみたいに、ぽつりと落とされた言葉。


「……え?」


……律の考えてることは、いつもわからない。

けど、今はいつも以上にわからない。


少しの沈黙のあと、

律は遠くを見るような目で淡々と続ける。


「…昨日、彩葉と蓮くんを襲ったやつがいたでしょ」

「え、昨日のこと…」

「外の道路でそいつらを捕らえた。で、強めに情報を吐かせた」


確かに昨日、私は襲ってきた奴を捕らえ損ねた。

でも、律が捕まえてくれてたってこと…?