俺も…。
神楽の若頭。
一つ判断を誤れば、
一つ感情に流されれば、
簡単に周りの人間を巻き込んでしまう。
彩葉だって、例外じゃない。
護衛として、そばにいる立場。
勢いだけで「好きだ」「俺の女になれ」なんて言うのは、無責任、だと思う。
親父には神楽組を継げと言われてるけど、俺はそもそも継ぐつもりなんてない。
だから、その辺の話は俺がどうにかする。
想いはもう伝えてるし、曖昧に誤魔化したつもりもない。
その上で、昨日の彩葉の言葉だ。
……自分で言うのもなんだけど。
あれは流石に、結構俺のこと…好きだろ。
最近になって嫌でも分かってきた。
彩葉は強いくせに、肝心なところで流されやすい。
あの空気で、あの距離で。
俺がもう一歩、強い言葉を重ねていたら。
もしかしたら、頷いてくれた。
でも、それは違う。
俺の言葉に押されてじゃなくて。
彩葉自身の意思で、俺を選んでほしい。
それじゃないと、意味がない。
腰に回した腕にほんの少しだけ力を込める。
彩葉の心臓の音が、すぐそばで早く鳴っている。
──今は、これでいい。

