そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~



【side 蓮】





腕の中で、彩葉の身体が小さく強張ったのがわかる。


びくっと跳ねるみたいに呼吸が浅くなって、
それを誤魔化すように、ぎこちなく身じろぎをする。

…わかりやす。


俺はその動きを追いかけるみたいに、自然なふりをして腕に力を込めた。

首元に顔を埋めたまま、ゆっくり息を吐く。


柔らかい匂いが、胸いっぱいに広がる。


昨日の夜から、ずっと。

触れた頬の熱も、押し倒した時の息遣いも、
今こうして抱き寄せている感触も。


全部、頭から離れねぇ。



正直に言えば──

今すぐ、このまま自分のものにしてしまいたいぐらい。


真っ直ぐ想いを伝えて、逃げ場なんて与えないで

俺の腕の中に閉じ込めてしまいたいって、思う。


彩葉が傷つかないように、
誰にも触れさせないように、

囲って、守って、俺だけの場所に置いておきたい。



なんて。

……最低だな。


つか、守られる立場の癖に何言ってんだよって話だよな。



自嘲するみたいに心の中で吐き捨てる。

でも、それが紛れもない本音だった。


同時に、彩葉がこれまでに色々あったんだろうってことも察していた。


簡単に人に甘えられなくて

簡単に「好き」なんて言えなくて

距離を詰められると、無意識に身構えてしまう理由があるんだろうって。