そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





俺は一切、感情を乗せずに答えた。


「黙れ。」


そして、腹に一発。

空気が潰れる音がして、男の身体が折れ曲がる。


そのまま数人を次々と地面に沈めた。

意識を刈り取るのに、時間はいらない。



……今の俺は、数年間の片想いが折れて絶賛傷心中でね。

手加減なんて、できるほど余裕はなかった。


それでも。

たとえ、どんな形でフラれたとしても。

彩葉の隣にいたくて、彩葉を守る意思だけは微塵も揺らがない。


地面にしゃがみ込み、気絶した男の胸元からピンバッジを外す。


……やっぱり。

また、 Nocturne(ノクターン)


指先で弄びながら、舌打ちした。


明らかに頻度がおかしい。

ここ最近、動きが露骨すぎる。


……彩葉、気づいたかな。

彩葉の実力なら、こいつらに負けることはまずない。

だからこそ、俺は宿の外で捕える判断をした。


彩葉の視界に入る前に。

彩葉が、余計な不安を抱く前に。


……それが正解だったかどうかは、正直分からない。

小さくため息を吐いて、立ち上がる。



「もう出てきていいよ。こいつら、回収して」



茂みの奥に声をかけると、気配が動いた。


事前に Aegis(イージス)に連絡を入れて、そこで待機してもらっていた仲間。


手慣れた動きで拘束され、倒れた男たちは次々と車に運び込まれていく。