そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~



【side 彩葉】




「……言わねぇなら、俺の都合の良いように解釈するけど?」



その言葉に、胸が跳ねた。


はっと顔を上げた瞬間、蓮の指先が私の頬に触れて。

熱を帯びた指が、逃げ場を塞ぐみたいに顎にかかって、ゆっくりと上を向かされる。


視線を逸らそうとしても、顎を掬われているせいで逃げられない。

蓮の目が、まっすぐに私を見ていて。


もう、蓮にも、誤魔化せない。


少しの沈黙のあと、私は覚悟を決めるみたいに蓮を見上げた。



「…………すれば。都合の良い解釈」



ぼそっと、聞こえるか聞こえないか分からないぐらいの声で呟いた。

……私、何言ってるんだろ。


頭の中では必死にブレーキを踏んでるのに。

口だけが、勝手に前へ進んでしまう。


蓮の動きが、ぴたりと止まった。


目を見開いて、ゆっくりと息を吸い込むのが分かる。

覚悟を決めたように私を見つめて。



「……じゃあ、もっかいしていい?」



息が触れるくらい近くて。

心臓が、痛いくらいに跳ねた。



「え、っ、な、なんでそうなるの──!?」



そう思うのに、声は上ずって、全然強くならない。

もう1回していいとは、言ってないよっ…!


蓮の親指が、そっと口元をなぞる。