そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「ち、違うっ!」



でも、思いのほか強い否定が返ってきた。

慌てた声に、思わず顔を上げる。


……違う?



「違うのか……?じゃあ、なんで」


「………言いたくない」



拒むように、視線を逸らされた。

怒ってた訳じゃなくて、言いたくもない理由…ってなんだよ。



「いや……理由を教えてくれ。俺、彩葉に嫌われたままは嫌なんだけど」



それだけは、どうしても譲れなかった。

嫌われるくらいなら傷ついたほうがマシだ。

そんなことを思っている自分にも驚く。



「だから……そうじゃないっ……!!」



また、強い否定。

それでもはっきりとは言わない。



でも、分からないままでいるのは耐えられなかった。


そんなに言いたくない理由って何?



…それとも。


これ、勘違いしてもいいやつだったりする?



こんな状況でそんな思考になる俺も、相当どうかしてる。


でももし、そうだったら。


もし俺の都合のいい考えが当たってたら。



一度、深く息を吸ってから言った。



「……言わねぇなら、俺の都合の良いように解釈するけど?」



彩葉が、はっと顔を上げる。

その瞬間、頬に触れて顎をすくい上げた。


触れたところから、じわりと伝わる温度。

視線を逸らす彩葉の顔は赤く染まっていて。


恥ずかしそうに戸惑っていて。


それでも、拒みはしない。


…………嫌、だったら、こんな顔しねぇだろ。