「とりあえず?あいつの大事なもん奪ってやろうと思ってさ。ついでに神楽組の若頭も捕まえりゃ、一石二鳥だろ?」
……ふざけるな。
俺は、彩葉の過去を全部は知らない。
何があったのかも、
なぜ“組織を潰した”なんて言われているのかも。
けど。
彩葉が、理由もなくそんなことをする人間じゃないってことだけは分かる。
どうせ、こいつらの方に非がある。
次の瞬間。
男たちが、一斉に距離を詰めてきた。
「……っ!」
考えるより先に、身体が動く。
腕を掴まれた瞬間に振りほどき、肘を叩き込む。
倒れた一人を踏み台にして、次へ。
……数が多い。
暗くて、視界も悪い。
一人、また一人と退けるが、
徐々に囲まれていく。
背後から腕を掴まれた。
冷たい感触が、首筋に触れる。
「動くな」
耳元で、低い声。
首にはナイフを突きつけられて、周りにも数人の男。

