そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





探し回って、人気のない庭の裏手まで来たところでようやく立ち止まった。


深く息を吸って、吐く。


落ち着け。

まずは、冷静になれ。


そう言い聞かせた、その時だった。


──カラン。


足元の暗がりで、金属音が転がった。

缶ジュースが足にぶつかり、反射的に背後を振り返る。



「……誰だ」



闇の中から、ゆっくりと人影が現れる。

一人、二人……いや、五人。


全員、黒いパーカー。

………多分、ただの不審者じゃない。



「さすが、神楽組の若頭。気づくの、早いねぇ」



耳障りな声が、夜に溶ける。


神楽組の名前を出す──

それだけで、相手の立場ははっきりした。


…ここは京都だぞ。

こいつら、こんなところまで追いかけてきたのか?


「……お前ら、何者だ」


警戒を解かずに問いかけると、

男たちは顔を見合わせて嗤った。