そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「……?」


複数人の、少し荒い声。


「……なに、今の」


音葉も気づいたみたいで、立ち上がる。


……嫌な予感に、背筋が冷えた。

無意識のうちに、耳が、意識が、そっちに引っ張られる。



「……彩葉?」



私はぎゅっと拳を握って、立ち上がった。


深呼吸して、無理やり笑う。



「音葉。…話、聞いてくれてたの、嬉しかった。」

「え、どこいくの…!?」

「……私、ちょっと用事、思い出したから。おやすみ!」



そう言い残して、私は走り出した。

振り返って一言。



「あ、多分危ないから音葉は絶対ついてこないで、すぐに部屋に戻って!」



夜の中庭を抜けて、音のする方へ。

心臓が、嫌な音を立てている。



……お願いだから、違ってて


……蓮……。




そう願いながら、私は一人、夜の中を駆けていった。