そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





触れ方が、少しだけ優しくなって。

髪に指が絡んで、撫でるみたいに後頭部を包まれる。



「……っはぁ、……」



やっと唇が離れた瞬間、額が触れそうなほど近くて、

蓮の息遣いが、直接伝わってくる。




………だめだ。


嫌とか、嫌じゃないとか、考える余裕もなかった。


意味わかんないぐらい、ドキドキしてる。


もう、誤魔化せない。




───私は、蓮が好きなんだ。




認めたくないのに。


この気持ちを受け入れたら、戻れなくなるのに。



…なのに……



…もっと、してほしい。



そんなことを思ってしまった自分が、怖くて。



「……っ!」



蓮を押しのけて、私は部屋を飛び出した。


ウィッグも被らずに、女子の姿のまま。


……最悪だ。

こんな姿を誰かに見られたら、やばいどころの話ではない。


でも今あの部屋に戻るなんて無理だし、人気のないところまで走るしかなかった。