そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




【side彩葉】




乾かし終えた髪を指で梳きながら、自分のベッドに腰を下ろしたその時。

ガチャリとドアが開く音がした。


顔を上げると、蓮もタオルで髪を拭きながら部屋に入ってくる。

湯気をまとったままの姿は、同い年のはずなのにどうしてかひどく大人びて見えた。



なんとなく目が合うのが気まずくて、私は視線を逸らす。



蓮は何も言わずに、向かい合うようにもう一つのベッドに腰を下ろした。




「……お前さ。榛名と…キスしたことあるって、どういうことだよ」


「……えっ」



な、なんでしってるの……!?


ペットボトルのお茶を飲もうとしていた手が止まる。


今口にしていなくて本当に良かった。

危うく、全部吹き出すところだった。


……律、一体何を話したの。


視線を逸らしたまま、私は必死に言葉を探す。



「…でも、一回は、任務で…」



こんなこと言い訳にもならないのに、それしか出てこなかった。

蓮の視線が、鋭くこちらを向いた。