でも、俺の恋心だってそんな簡単に消えるわけない。
数年分の想いだ。
これぐらい、許されるだろ。
「俺、彩葉とキスしたことあるよ。」
蓮の瞳がかすかに揺れる。
「2回」
そして付け足した。
…こんなこと言っても、意味ないのにね。
つい、そんなことを言ってしまった。
彩葉のファーストキスは、俺だ。
これは、紛れもない真実。
「…………煽ってんのか」
「そうかもね」
余裕の表情を作り、笑って見せた。
最後に足掻くぐらい、許してよ、彩葉。
「あっそ」
やがてそう言って、蓮は去って行った。
その後ろ姿を見送って。
「…………あのね、蓮くん。俺、もうフラれてるんだよ」
声は小さくて、誰にも届かない。
好きになった気持ちは、消せそうになかった。

