【side律】
観覧車から降りたあと、蓮に声をかけられた。
「……ちょっと来い」
有無を言わせない雰囲気で俺の腕を軽く掴むと、彩葉から見えない建物の影へと連れて行かれる。
……ああ、これは逃げられないやつだな。
昨日も、「距離近い」だの何だの文句言われたけど。
今日は何だよ。
「おまえさ」
立ち止まった先で蓮は振り返り、真正面から俺を見据える。
「彩葉のこと、どう思ってるんだよ」
回りくどい前置きもなく、直球で聞いてきた。
……やっぱり、聞くよね。
内心で小さく苦笑する。
正直、聞かれる覚悟はしていた。
少しだけ息を吸って、軽く返す。
「どうって?」
わざととぼけると、蓮の眉がわずかに寄る。
その反応だけで、もう誤魔化しは効かないって分かる。
「好きなんだろ」
それは質問というより、確認だった。
……まあ、元々隠してるつもりもなかったしな。
これ以上隠す気も誤魔化す気もないので、俺は普通に頷いた。
「うん」
即答すると、蓮は一瞬だけ目を伏せた。

