「いーねその顔。」
頬にかかる髪を、指先でなぞられる。
そのまま指が耳の後ろを撫で、顎を軽く持ち上げた。
なに、この人…っ
「こんな逸材が、神楽蓮の専属護衛なんて…勿体無い」
「…な……」
なんで、それを…。
やっぱり、只者じゃない。
………蓮を狙った敵…?
「“ Nocturne”って、知ってる?」
その名前を聞いた瞬間、息が止まった。
……知らないわけがない。
胸の奥に、冷たい記憶が一気に蘇る。
……この人は、 Nocturneを知ってる…。
それに、私に向かってその名前を出すということは。
「へえ、いい反応するじゃん」
「……いい加減、離してください」
……落ち着け。
ここで動揺したら
終わりだ。
まだ、私の身元が完全にバレていると決めつけるのは早い。
「じゃあちゃんと目見て言えよ。さっきから目が泳いでる」
「……」
「怖がってるのか、照れてるのか。どっち?」
「どっちでもないです」
でも、 Nocturneの言葉を聞いてから、私の心臓の音は速くなるばかり。

