そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「…ねえ」



背後から突然声がして思い切り振り返る。


「っ…!?」


……いつから、そこにいた…?


まるで気配を感じなかった。

背中に、ひやりとしたものが走る。


黒髪の、私と同じくらいの年齢に見える男の子。

前髪の隙間から覗く視線は、どこか冷たくて。


……只者じゃない。


そう思うと、反射的に警戒してしまう。



「そんなに警戒しないでよ」

「……気配を消して近づかれたら、誰だって警戒すると思います。」



一歩、後ずさった瞬間。

腰のあたりにぐっと手が回されて、逃げ道を塞がれた。


でも、不思議なことに。

この人から、はっきりとした敵意は感じない。



「…離して」

「俺君に興味あるんだけど」

「あなた誰なんですか?通報しますよ」



ナンパ……にしては、なんだかそんな空気感ではない。

かといって、私を攻撃しようというわけでもない。


遊園地の真ん中で騒ぎを起こすのは目立つし、

敵意がない分、殴るという選択肢も取れなかった。