「嫌なら…今度はちゃんと、拒否して」
視線を上げた瞬間、距離が思っていたよりもずっと近くて。
律の目は私の目を見て、それから視線が唇に落ちた。
あ──キス、される。
でも。
そう思った、その瞬間。
…………なんでまた、
蓮の顔が頭に浮かぶの…?
意味なんて分からない。
どうして蓮なのかも、分からない。
このまま律を受け入れてしまったら、
何かを、取り返しのつかない形で間違える気がした。
「……っ、」
気づいたら、私は律の胸元を軽く押していた。
本当に、反射で。
「……そっか。」
律は責めるような言葉ではなくて、むしろ納得したみたいに動きを止めて、触れていた手を離してくれた。
「あ、……ごめん…」
何と言えばいいのか、分からない。
「きっとそれが、彩葉の気持ちの答えだよ」
その笑顔は、いつも通りで。
…でも、少しだけ寂しそうで。

