「……本気で嫌だったら、突き飛ばしてる」
拒めなかったのは、私の方だ。
しばらく沈黙が続いて、
その間に観覧車はさらに高く昇っていく。
「………嫌じゃなかったってこと?」
律がこちらに寄ってきて、距離が更に近づいた。
「……わかんないから…こんな、悩んでんの…っ」
律の手が、私の頬に触れた。
「こうやって触れられるのは…?」
…嫌じゃない。
そもそも、律に触れられるのが嫌だと思ったことなんて一度もない。
でも、これは…。
…ドキドキする、よりも………
安心感……?
無言を肯定と受け取ったのか、
律は私の目にかかっていた髪をそっと払って、耳にかけた。
──その仕草が、何故か、蓮に触れられた時のことを思い出してしまって。
どうして、今。
このタイミングで。思い出したの。

