「彩葉、お化け屋敷苦手?」
「……に、苦手じゃない!」
蓮にそう言われて、強がって答えたら。
「この状況でそれは無理ある」
くすっと笑う声。
わ、私のこと揶揄ってる…!?
お化け屋敷を出た頃には、
怖さよりも、妙な疲労感でいっぱいだった。
「はぁぁ…………」
思わず、深いため息がこぼれる。
疲れた。もう、色んな意味で。
空がすっかり暗くなった頃。
最後に辿り着いたのは、ゆっくり回る観覧車の前だった。
夜の遊園地に浮かぶ柔らかな光。
「ねぇ、蓮くん」
律が、不意に足を止めた。
「……何」
「じゃんけんしない?」
「は?」
「どっちが彩葉と乗るか」
…え。
そもそも、なんで私と2人で乗る前提で話が進んでいるのか…。
置いていかれた気分で立ち尽くす私をよそに、蓮が頷いて拳を出す。
「……分かった。」
「最初はグー。じゃんけん…」
結果は、あっけなかった。
律の勝ち。
蓮の負け。

