「じゃあ、俺にもまだチャンスあるってことでいい?」
「………え?」
顔を上げれば、蓮は呆れるどころか笑っていて。
思いもよらない言葉に、目を見開いた。
蓮はそれ以上は何も言わず、肩に手を置かれてそっと視線を夜景に戻される。
触れているのはそこだけなのに、胸がざわついて、落ち着かなかった。
「もう遅いし、静かにな」
「うん」
見つからないように部屋に戻って、それぞれベッドに入った。
電気が消えて、部屋が暗くなる。
さっきより、ずっと静か。
隣のベッドから聞こえる寝返りの音すら、よく聞こえる。
……全然、寝れる気がしない。
「……もう寝た?」
闇の中で、蓮の声。
「…まだ」
正直に答えると、くすっと笑われた。
「だよな」
「蓮は?」
「俺?」
少し間があって、
「……しばらく無理」
その答えに理由を聞けないまま、心臓はうるさいままだった。

