そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





ドアを開けるとちょうど蓮が戻ってきたところで。

髪が少し濡れていて、湯上がり特有の匂いがふわっと漂う。



お風呂上がりの蓮と会うことなんて家で何回もあったのに、

この部屋で2人きりだと考えると、変に意識してしまう。


目が合って一瞬、蓮の視線が私の濡れた髪に落ちる。


タオルで髪を拭きながらベッドに座ろうとした瞬間。



「ちょっと待て」



手首を、軽く掴まれた。


「な、なに……?」

「こっち座れ」


もう片方の手は、軽く椅子を引いていて。


言われるまま腰を下ろすと、背後に蓮が立った気配。

ドライヤーのスイッチが入って、温かい風が首元を撫でる。



「え、いいよ、自分でやるよ…!?」

「じっとしてろって」



蓮はやめるつもりはないみたいで、指が私の髪に触れた。


思ったよりも優しくて、丁寧で。

絡まないように、一本一本をすくように髪をとかしていく。



「……女子の髪って、こんな柔かいんだな。」



ぽつりと呟かれて、心臓が跳ねる。


ドライヤーの音に紛れても鼓動がうるさくて。

息の仕方を忘れそうになる。