気づけば律がじっとこちらを見ていて。
視線が合って、何か言いたそうな顔。
「……な、なに?」
「いや、なんでもない」
ふっと視線を逸らされる。
……わからない。全然、わからない。
舞台を降りたあとも、人の波は途切れなかった。
音葉は相変わらず楽しそうに写真を撮っていて、
私はその横を歩きながら、頭の中でぐるぐると考え事をしてしまう。
「彩葉、そこ足元気をつけて」
「えっ」
声をかけられた瞬間、足元の段差に気づくのが遅れて。
体が傾いた、その瞬間。
ぐっと、腕を引かれた。
「ありがと……」
律に引き寄せられて、距離が一気に縮まる。
それだけのことなのに胸が強く跳ねて、息が一瞬詰まった。
律の顔を見ないように逸らしていたら、
「彩葉、顔赤くない?」
ぐいっと、覗き込まれる。

