清水の舞台は、人でいっぱいだった。
欄干に手をかけて見下ろすと、遠くまで街並みが広がっている。
風が吹き抜けて、思わず息を呑んだ。
「うっわ……高……」
「落ちたら即ニュースだね」
「縁起でもないこと言うなよ」
律と音葉の軽いやり取りに、張り詰めていた肩の力が少しだけ抜ける。
「彩葉、こっち向いて」
「?」
蓮の声がして振り返ると、カシャとシャッター音。
「え、ちょっと、急に撮らないでよ…!」
音葉も蓮も、いきなり撮らないで…!
変な顔してなかったかな…?なんて心配になる。
「綺麗に撮れてる。」
蓮はそう言ってから、一拍置いて。
「…可愛いのに、男装なのが勿体無いけど。」
次の瞬間、指先が私のウィッグに触れた。
さらりと、髪を耳にかけられる。
「——っ」
きゅ、急に触るの不意打ちすぎるよ。

