「彩葉、写真撮ろ!」
「ちょ、音葉——」
抗議する間もなく自撮り用のスマホが目の前に差し出されて、私は慌てて表情を整えた。
カシャッ、という音。
「いいじゃんいいじゃん、修学旅行っぽい!」
満足そうに画面を確認する音葉の横顔を見ながら、
私はふと、さっきの2人の様子が気になって、ちらりと背後へ視線を送る。
律と蓮は、少し離れたところで立ち止まっていた。
観光客の流れに紛れて声は聞こえない。
蓮は腕を組んでいて、律は片手をポケットに入れている。
……何話してるんだろ。
妙に張り詰めた空気が、遠目にもわかってしまって。
「彩葉〜?なにぼーっとしてるの?」
「あ、いや……」
音葉に声をかけられて、慌てて前を見る。
「ほら、2人も早く来なよ〜!」
音葉が楽しそうに手を振ると、律が先に歩き出した。
ほんの一拍遅れて、蓮がその後を追う。
……何事もなかったみたいに。

