「ほらほら、喧嘩しない!せっかくの京都だよ〜」
「喧嘩してない」
「してないね」
律と蓮の声が、微妙に被る。
……やっぱり、ちょっと空気おかしくない?
「……男子ってほんとめんどくさぁ。」
音葉が呆れたように言って、私を見る。
「彩葉、なんかあったら私に相談しなね?」
「えっ、うん…??」
「というわけで、まずはここ行こ!」
そう言って携帯の画面を指さしたのは、修学旅行ど定番の清水寺だった。
石畳の道、並ぶお土産屋さん。
八つ橋の甘い匂いに、観光客の笑い声。
「彩葉、これ見て。狐のお守り」
「え、かわいい…!」
音葉に引っ張られて、私は小さなお店の前で足を止める。
木製の棚にずらりと並ぶお守りはどれも色とりどりで、京都らしい落ち着いた香りが漂っている。
指先で小さな狐を摘まみ上げると、ころんとした形が妙に愛らしくて、思わず頬が緩んだ。
その瞬間。
「……おい、榛名」
「なに」
後ろで、蓮の声がして。
でも、振り返る前に音葉が私の手首を掴んでぐいっと引き寄せる。

