そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「ねえ、それ本気で言ってんの」


なぞるだけ。
触れてるか触れてないか、分からないくらい。


「…せっかく今まで我慢しててあげたのに。」


吐息が唇にかかる。

くすぐったくて、熱い。



「俺が何もしないって、思ってた?」



律の目は、ずっと真剣で。


「……な、なんで…」


絞り出すみたいに聞くと、律は一瞬だけ目を伏せた。

ほんの一瞬。
それが、ひどく苦しそうに見えて。


「……何、言わせたいの?」


僅かな沈黙。

そのあと、小さく舌打ちして。


「あー……クソ」


覚悟を決めたみたいに、またこちらを見る。



「……好きだからだよ、彩葉のこと。…友達じゃなくて、キスしたい方の好き」



世界の音が、すっと消えた気がした。

頭が追いつかない。


律が、私を——

女の子として、好き……?