そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「ダメでしょ、そんな顔しちゃ」



低く囁かれる。



「俺じゃなかったら、とっくに食われてるよ」



そう言われて、胸の奥がきゅっと縮んだ。


拒まなきゃって思うのに、身体が言うことをきかない。


律の手は、相変わらず優しいままで。


頬に触れる指先は熱を帯びていて、

触れられているだけなのに、逃げ場を失ったみたいになる。


力なんて、少しも入っていない。

それなのに、動けない。



「……やめて、って言わないんだ」



くすっと、小さく笑う声。



「本気で拒んでくれたらやめるよ。…彩葉が嫌なことは、しないから。」



視線が絡んで、逸らせなくなる。

律の目は真剣で、冗談の欠片もなくて。



「……だ、ダメだよ、律…」



なんとか言葉を絞り出したけど、声にすると思っていたより弱くて。

律の親指が、唇の端に触れた。