「それはさ」
言葉を選びながら、息を吐く。
「断りたくなるお願いされたことないだけ」
きょとんとした顔で俺を見つめる彩葉。
ほんとに、分かってない。
「全部自分がやりたくてやってる。俺、彩葉には甘いの」
そう言うと、彩葉は少し考える素振りをしてから、ぽつりと答える。
「………じゃあ、その…。」
一瞬、言葉を探す間。
「…もし、よかったら…眠くなるまで、話し相手になってくれない?」
……え。
「久しぶりにここに戻ってきて…目閉じると色々考えちゃって。少し話したら落ち着くかなって……」
苦笑いしながら、でもどこか申し訳なさそうに。
…いや、確かに断りたくなるお願いされたことはないよ?
彩葉のお願いならなんでも断る気ないし。
でも、その……。
夜中に自分の事を好きな相手の部屋に入ると言う無防備さを、
もう少しちゃんと、自覚して欲しい。

