「どうしたの、彩葉」
ドアを開けた瞬間、思考が一拍、止まった。
ダボっとしたTシャツに、短パン。
部屋着そのまま、といった格好。
夜の廊下の照明の下で、その白い足がやけに目につく。
……いや、これは。
無自覚にもほどがある。
「あ、えっと……今日一日、すごく気を遣わせちゃったと思って。ちゃんとお礼言いたかったの」
……それだけ?
わざわざ、この時間に?
「お礼なんていいよ。俺が彩葉とデートしたかっただけ」
「またそうやって茶化す…」
彩葉は少し困った顔でそう返す。
茶化してないし、ずっと本気なんだけどなぁ。
「私、いつも律に甘えすぎてる気がするから…無理に私に合わせてくれなくてもいいからね?」
………なんで、そうなる?
俺、一度も無理して合わせたことないんだけど。
「…俺、効率厨だから無駄な事嫌いだし、嫌な事は嫌ってハッキリ言うタイプなの知ってるでしょ?」
「でも、律に何かお願いして断られたことないし──」
彩葉は困ったみたいに眉を下げて、そう続けた。
それを“優しさ”だと思ってるんだろうけど、
俺からすると、全然違う。

