【side律】
彩葉はいつも、無防備すぎる。
昔からそうだったけど、
最近は特に。
今だって手を繋いでも抵抗しないし、
距離が近くても、当然みたいな顔をする。
……いや、さすがに。
最近の俺、結構好意ダダ漏れだったと思うんだけど。
気づいてないの?
それとも、気づいてて無視してる?
………やっぱり、ちゃんと言わないとダメかなぁ。
「彩葉、ちょっとここで待ってて」
「え?」
「すぐ戻るから」
そう言って微笑むと、素直に頷いてくれた。
色々考えを巡らせながらも、俺は後ろにある気配に気づいていた。
俺が後ろを振り返れば、その気配は逃げるように距離を取る。
人の少ない建物の裏へ回り込み、
退路を塞ぐように立ちはだかった。
そして、逃げられる前に胸ぐらを掴む。
「……お前、俺たちの後ろつけてきてるよね」
男が、わずかに動揺する。
襟元に光る、見覚えのあるピンバッジ。
Nocturneという文字が彫られている。
………やっぱり、まだ生きてたのか。

