そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




え、と声を出す前に、律の指が私の口元に伸びた。


親指ですくわれて、

そのまま──自分の口へ。



「甘いね」



にこりと笑うその顔に、
心臓が一拍、遅れて跳ねた。



「……ちょっと」



抗議するより先に、恥ずかしさが勝つ。


……ねえ、やっぱり私のこと子供扱いしてるよね?


だって私もう十八歳なのに。

律の私への扱いが昔から全然変わってない。


いつのまにか手も取られていて、完全に律のペースに乗せられている。

強く握られるわけでもない、ただ指先が絡むだけだけど…。



それなのに、すごく落ち着くのが悔しいな。


……だめだな。


護衛のことも、任務のことも、

頭の中で渦巻いていた不安も、全部遠のいていく。



「今日ぐらい……いいのかも」



思わず零した言葉に、律は何も言わなかったけど、
少しだけ、指に力がこもった気がした。