「……いいのかな、仕事サボって…」
車に乗り込んでからも、私はどこか落ち着かなかった。
ただでさえ護衛の仕事を休んでいるのに、
任務の合間に、こんなふうに街に出かけるなんて。
「いいよ。今日ぐらい気抜いてこ」
ハンドルを握ったまま、律はあっさり言う。
……律は、いつもこうだ。
私がぐるぐる考えていることを、まるで「そんなの気にしなくていい」と言うみたいに、軽く越えていく。
街に出ると、空気は一気に柔らいだ。
「危ないからこっちおいで」
そう言って、律は自然に車道側を歩いて私の立ち位置を変える。
気づけば私の荷物も全部、律の手に移っていた。
途中でクレープを買って歩きながら食べていると。
「……彩葉、ここついてる」
律が足を止めて、私の方を向く。

