そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「……でも。何組も帰ってきてないって、どういうことなんだろ」


律とまた組めるのは、正直、少し嬉しい。


…でも。
資料を見つめていると、どうしても思い出してしまう。


Luminous(ルミナス)の任務で、私を庇って撃たれた律の姿。

…………もしまたそんな事になったら、今の私はちゃんと銃を持てるだろうか。


ふと顔を上げた瞬間、

視界の端で、律がこちらを見ているのに気づいた。


「彩葉」


名前を呼ばれて、顔を上げる。


「……なに?」


律は何も言わず、ただ、少しだけ距離を詰める。

そして、ごく自然な動作で、
私の頭に手を置いた。

ぽん、と。
昔と同じ、軽い力で。


「また、何か悩んでる?」


責めるでもなく、探るでもない声。


律に頭を撫でられるのは嫌いじゃない自分がいた。

どうしてか、安心してしまう。


私は視線を落としたまま、しばらく黙ってしまった。


「……久しぶりに」


小さく、息を吸う。


「………夢を見た。ここ最近は、見なくなってたのに」


それだけで、十分だった。

律の手が、わずかに止まる。


「……そっか」


深くは聞いてこない。

でも、多分全部分かってるんだろうな。


「ねえ彩葉」


名前を呼ばれて顔を上げると、


「気分転換、しない?」


律は笑って、そう言った。