そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「……でも、いろいろありすぎて、何から話したらいいのか…。」


私が迷っていると、蓮は少し考えるように視線を落としてから言った。


「……じゃあ、今の仕事をしてる理由は?」


今の仕事…。
Aegis(イージス)のことかな。

深呼吸してから、ぽつり、と言葉を落とす。


「……10歳の時にね、私の両親が……とある抗争に巻き込まれて」


…巻き込まれた、というか

あれは多分…最初から私の両親を狙っていた。


「目の前で…冷たくなっていく2人を見て、何も考えられなくなった。」


胸の奥では、ずっと何かが軋んでいて。

あの時の光景は、
嫌というほど、鮮明に残っている。


「………感情のままに動いて。全部、終わったあとに残ったのは……虚無感だけ」


蓮は何も言わない。

ただ、静かに、最後まで聞いてくれている。


「さっき……蓮の姿を見て、どうしても放っておけなかったの、…昔の私と一緒だと思ったから」

「彩葉……。」

「…… Aegis(イージス)には、その時にスカウトされた。全部失って、行き場をなくした私を、拾ってくれた」


少しだけ、肩をすくめて笑う。


「私には……戦闘能力しかなかったから」


軽く言ったつもりだった。

でも、自分で口にして、胸の奥がひりつく。

……嫌になる。