「ん…っ…ちょ、ちょっと…!」
突然のことに脳が追いついていない私。
思わず抱きしめていた手で蓮の服を掴んだ。
心臓だけがうるさく鳴っている。
「ま、……まって…」
いま、首元に、…っ…?
「彩葉、やっぱ首弱いだろ」
「よわい…って…わかんな…」
「可愛い。」
やっと離れたと思ったら、
吐息がかかる距離で囁かれる。
さっきまでの苦しそうな顔が嘘みたいに、甘い声。
「も、…もう元気になったでしょ…!!私たちも帰ろ!?」
気づけば店内には誰もいなくなっていて、人通り回収し終えたのだろう。
おそらく、外で絢斗さんが待っている気がする…。
体を捩って腕の中から抜け出すと、
蓮は一瞬不満そうにしたけど、すぐに小さく笑った。
「……そうだな。帰ろ」
私の手を取って店の外へ走り出す。
夜の空気が、やけに冷たくて。
でも、繋いだ手だけが、熱かった。

