そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




「……お前ら、俺をナメてんの?」


俺はパーカーを脱ぎ捨て、武器を構える男たちに向かい、一歩踏み出した。

最も近くにいた男の顎に拳を叩き込み、乾いた音が響くと共に男はその場で崩れ落ちる。


「なッ……速ッ──」


腹に蹴り、後ろの男の首を肘で打ち落とす。
三人倒すのに数秒とかからなかった。


「……はっ、ザコばっかじゃねぇか」


怒った男が鉄パイプを振り下ろしてきたけど、俺は腕を蹴り上げ、武器を落とさせる。

背後から殴りかかってきた男も、振り返らず後ろ蹴りで黙らせた。


手についた血を軽く払い、鼻で笑う。


「もう終わり?話になんねーな」


倉庫内にはすでに十人ほど倒れている。
さっさと絢斗を連れてここから離れよう。

その時、絢斗が声を張り上げた。


「蓮!後ろ!!」


振り返った瞬間、鉄扉が乱暴に開き、十人以上の増援が押し寄せてきた。

……!

…いくら何でも多すぎだろ。


さっきから奥で黙って見ていた敵のリーダーらしき男が笑いながら近づいてくる。


「クソ……一人に大勢って、クズだな」


拳で二人、蹴りで一人倒す。しかし、人数が多すぎる。

背中を殴られ、呼吸が乱れた途端、脇腹に鉄パイプが食い込んだ。


「……っ……!」


片膝をつき、視界が揺れる。


「どうした?さっきまでの余裕は」


鉄パイプの先端が肩に掠れ、ワイシャツが切れた。

血を拭い、立ち上がろうとするが、上手く力が入らない。


「……は…っ…、」


その時、後方からまた足音。


「やめろ!!」


今度は聞き覚えのある声と共に入ってきた。

振り返れば…そこにいたのは桜庭彩葉だった。