そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




その場にいた全員が、息を呑むのがわかった。

…まだ動ける敵が残っていた。



私は銃を見た瞬間にはもう動いていた。

相手に飛びつくようにして倒れ込み、押さえ込む。


「っ…!!」


それでも男は必死に抵抗し、銃口を蓮へ向けようとする。


だから、


私は、さっき拾った銃を押さえ込んでいる相手の頭に突きつけた。



「……動くな」



少し、声が震える。



…………だめだ、もう大丈夫だと思っていたけど。

銃を握ると、どうしても、昔の記憶が蘇ってしまう。


今撃つ気なんてないけど、もし今撃つことになったら手元が狂いそう。



幸いなことに、男は観念したように抵抗することを諦めてくれた。


その隙に蓮に向けられていた銃を抑え、神楽組の人達に引き渡す。




……銃を持った手が、まだ、震えている。




でも、蓮が無事で、よかった。



店の中に急に静けさが戻った。

さっきまで確かにここにあったはずの銃声も、怒号も、殴り合う鈍い音もまるで最初から存在しなかったみたいに、すべてが引いていく。


床には、割れたグラスの破片。

こぼれた酒と、鉄の匂いが混じった血の臭い。