そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「悪いね、一般人じゃなくて」


そのまま、襲いかかろうとしてきた従業員の顎に蹴りを入れる。
別の一人には肘。

武器を持つ相手への動きは、体が覚えている。


「おい。」


視線の先。

周囲の敵を一通り片付けた蓮が、ゆっくりと店主に近づいていくのが見えた。



「俺は今、機嫌が悪い。」



後ろ姿だから顔は見えないけど、声だけでもわかる威圧感。



「大人しく捕まるか気絶するまで俺に殴られるか。」



更に一歩、距離が詰まる。



「今すぐ選べ。」



店主は完全に言葉を失っていた。

圧に押し潰されて、息をするのも忘れたみたいに。


……どちらを選んでも。

裏切ったこの人にとっては、生き地獄だ。



「オススメは大人しく捕まる方。」



次の瞬間。

蓮の言葉なんて聞きもせず、店主はヤケクソで叫びを上げた。



「降参なんて、できるかよ!!死ね!」



そして、パン、と乾いた音が響く。



顔を背けた蓮の頬から、ぽた、と血が垂れる。

店主が撃った銃弾が、蓮の頬をかすめたのだ。