そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~



【side彩葉】




…出口を確認しておいてよかった。

これでほとんどの客は外に出たかな。



──そのとき。


背後から突然肩を掴まれて強い力で身体を引き寄せられた。

息を吸う間もなく、首元にひやりとした感触が押し当てられる。



銃。


理解した瞬間、ぞわりと背筋を冷たいものが走った。


っ油断した…!


「動くな!」


耳元で怒鳴られ、鼓膜が震えた。


「この一般人がどうなってもいいのか!?」


蓮の視線が一瞬だけこちらに向く。

ほんのわずかに、焦りが滲んだのが分かった。

この状況に、神楽組の動きが止まる。


……大丈夫だよ、蓮。
前だけ見て。


私は深く息を吸って、肘を思いきり後ろに叩き込んだ。


「な、!?」


鈍い衝撃と共に、相手の体勢が崩れる。

私は一気に身を捻り、銃を蹴り落とした。


乾いた音を立てて床を転がる黒い銃。

迷いはなかった。
私はすぐにそれを拾い上げる。