【side蓮】
「久しぶりですね〜蓮さんに絢斗さん!」
……白々しい。
向かいのVIPソファに座りにこやかに笑っているのはこの店のオーナー── 城戸 秀治。
まさか自分の所業が俺らにバレているなんて一ミリも思っていない目の前のこいつは、俺達はただの挨拶で来たと信じ込んでいるらしい。
…確かに、今までこの男に怪しい動きは一切なかった。
だからこそ、疑いも薄かった。
——あの証拠を見るまでは。
部下が手に入れた取引現場の録音と写真。
それを見た瞬間、否定の余地は消えた。
「どう?店の方は」
「おかげさまで大繁盛ですよ〜!」
…さて。
どうやって吐かせるか。
「それは良かったな。」
軽く相槌を打ってから、間を置く。
「……そういえば最近。付近で怪しい影が増えてんだけど、何か知らねぇ?」
じっと目を合わせて、探りを入れてみる。
城戸の目が、ほんの一瞬、泳いだ。
「そうなんですか…私は特に、そういう話は聞いていませんが……」
「俺は知ってるよ」
被せるように言うと、城戸の口角が僅かに引きつる。
「知ってる、といいますと…?」
俺は表情を変えないまま、目の前のグラスを手に取って、ゆっくり回した。
「誰かさんが神楽組の情報を売ってるって話」
そう言うと、絢斗が数枚の写真をちらつかせる。
裏切りの証拠になる取引現場の写真。

