しばらく歩いてたどり着いた目的の店は、繁華街の奥にあった。
紫がかった照明が外まで漏れ出していて洒落た高級感のある、夜の街に似合う店。
ちなみに、ここに来るまでに蓮はいろんな人に声をかけられていた。
主に神楽組と協力関係がある店の人達っぽかったけど。
蓮に話しかける誰もが礼儀正しくて、“神楽組の若頭”ということを再認識させられたような気がした。
「……作戦、分かったか?」
店の付近で、確認するように絢斗さんに言われて私は頷いた。
作戦はこうだ。
蓮と絢斗さんは、“いつもの挨拶回り”のフリをして店主に接近。
私は客として紛れ込んで蓮の周りを警戒。
店の周りにも神楽組の組員が待機していて、すでに中にも客として数人潜んでいるらしい。
店内に足を踏み入れると、空気が一段階濃くなる。
シャンパンの入ったグラスがぶつかる音、洒落た店内BGM。
いつも通りの夜を楽しんでいる派手な服やメイクの客達。
見渡すと、フロアの奥の仕切られたVIPソファに店主の姿があった。
スーツ姿の、四十代くらいの男。
一見すればどこにでもいそうな経営者。
蓮と絢斗さんが近づくのに合わせて、会話がぎりぎり聞こえる何かあればすぐに動ける位置で腰を下ろす。
…今のうちに、店内も観察しておこう。
私はグラスに口をつけるふりをして、見渡しながらも耳を澄ませた。

