「着替えんなら早くして」
「…………え、今…!?」
「他に場所ねぇだろ。別に、覗き見たりしねーよ。」
そ、そうだよね更衣室なんてないもんね……!?
「絢斗もミラー見るなよ」
「はいはい。」
心臓が落ち着かないまま車内でしゃがみ込んで、
ウィッグを外して、急いでワンピースに袖を通す。
…でも、後ろのチャックを閉めようとしたところで、チャックが途中で止まった。
あ………。
何度引いても、布を噛んで動かない。
「……あの、蓮」
「…何」
……とても、不本意、だけど…
背に腹はかえられない…
「チャック、布噛んじゃって……手伝ってくれない?」
一瞬の沈黙。
「あのなぁ…」
文句を言いながらも、渋々近づいてくる。
指先が背中に触れて、心臓が跳ねた。
慎重にチャックを上げていく。
……ありがとう、と言おうとして振り向いた、その時。

