そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




【side律】






カラオケの部屋は、相変わらずうるさい。

笑い声。
マイクを通した歌声。
グラスがぶつかる音。


なのに。


俺の視線は、どうしても一点から離れなかった。


ソファの端。
彩葉の隣に、蓮が座っている。


さっきまで、蓮は一人で座ってたはずなのに。
彩葉が席を立って戻ってきたタイミングで、いつの間にかそこに座らせたのだろう。

俺はというと、なぜかクラスの男子たちに反対側のソファに引きずられていた。


「リレー一位おめでとー!」

「やっぱ律速えーわ」


笑って適当に相槌は打ってるけど、
正直それどころじゃない。


……だって。


気づいたら、蓮と彩葉、仲良くなりすぎじゃない?



前は、こんな距離感じゃなかった。

いや、距離感近いなとは思ってたけど…最近はわざとやってるんじゃないか?という距離感。


欠伸をした蓮が、何の躊躇もなく彩葉の肩に寄りかかるように頭を乗せた。

一瞬、彩葉の体がびくっと跳ねて、驚いた顔で蓮を見るけど──

突き飛ばさない。
離れようともしない。

少し頬を赤らめて、視線を逸らすだけ。


……ほら、やっぱり

これ、わざとだ。