そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




「だってさ」


岬さんは私をまっすぐ見て、


「さっき、迷わず私を庇ってくれたでしょ。学校でも……困ってる人がいたら、自然に声かけるし。そういうとこが好きだったんだよ」


少し照れたみたいに、視線を逸らしながら続ける。


「だから」


一歩、距離が縮まる。


「桜庭く──じゃなくて……彩葉ちゃんが、男でも女でも。私は好き!」

「え……」


予想していた反応と、まるで違った。

嫌われるとか、バラされるとか、そういう想像ばかりしていたのに。


「あと〜…」


岬さんは急にくすっと笑って、今度は楽しそうに目を輝かせる。


「正直に言うと、顔がドタイプ」

「えっ」

「男装のときはカッコいいのに、女の子だと普通に可愛いとか……ずるくない?」


顔を覗き込むようにぐっと距離を詰められて、思わず後ずさる。


「岬さん──」

「音葉って呼んでよ。彩葉ちゃんと仲良くなりたいし」


そう言って、岬さんは一瞬考えてから付け足した。


「あ、でも男子のフリする子に“ちゃん”付けはまずいか。」


その気遣いが、なんだか可笑しくて。

思わず、ふっと笑ってしまった。