そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「私、桜庭くんのことが好き、です!」


え。

…え!?

まさか自分が、それも女の子に告白される事があるなんて思ってもみなかったので、思わず固まってしまった。


「ご、ごめん!急にこんなこと言われても困ると思うんだけど……」


岬さんは慌てたように言葉を続ける。


「桜庭くん、いつも蓮くんと一緒にいるでしょ?だから今を逃したらダメな気がして……!」


……た、たしかに。


学校にいる時はほとんど蓮のそばにいる。
護衛のために一緒に登校してるわけだし、必然的に同じ空間にいることが多い。

でも、競技の合間とか、先生に呼ばれた時とか、完全に一人になる瞬間もあるから四六時中くっついているわけじゃないんだけど…周りからはそう見えてるのかな。


「その、返事はすぐじゃなくてもいいから、考えてくれたら嬉しいなって…!」


…………言えない。


「ごめん、私、女の子なんです」なんて。
そんなこと言えるはずもないので、どうしよう…。


好きって言ってもらえた気持ちは素直に嬉しい。
でもそれは、“男の私”に向けられたものだ。


曖昧にして期待をもたせるのは1番良くない、よね。


「……ありがとう。気持ちはすごく嬉しい」


私は一度、深呼吸してから岬さんを見る。


少し照れながらもまっすぐに私を見つめてくるその表情は、
女の私から見ても、正直、可愛いと思った。

……私が本当に男だったら、好きになってたかも。


「でも、ごめんね。…俺、今は恋愛に興味なくて。」


視線を逸らさずに、続ける。


「誰かと付き合うつもりはないんだ。期待させたままにしたくないから」