「立て。橋本兄妹感動の再会もそこまでだ」
若松先輩にぐいと腕を引かれる。
まだ上手く力の入らない足を立たせて輪の中に入れば、各々が顔色を見交わせていた。
一旦の作戦会議がはじまる。
「チーム戦と言っても、今回はそれぞれが違う場所にノルマを抱えている。合理性を鑑みるならバラバラになって動くべきだと俺は思う」
若松先輩の言葉にそれはそうだとうなずきながら、ここまで共に行動してきたみんなと離れることへの心細さは否めなかった。
ただ一人反応を濁したお兄ちゃんが口を開く。
「俺は反対かな。このゲームは全員が生き残ることが前提とされている。たとえ3人がノルマを達成できたとしても、1人が鬼に捕まっては水の泡だ。これは協力が鍵となってくる。バラけたとしても最低2人までだろう。俺は祥と動くからあとは好きにしなよ」
「お前、祥とふたりきりになりたいだけだろ」
「なにか問題でもあるのかい?俺以上に祥を守れる人間はいないし、祥以外の命はどうだっていい」
「ようやくまともなことを唱えたと思ったがあいかわらずなようだ。チーム戦だって言ってんだろ。敵なのか味方なのかハッキリしろ」
「祥の味方だよ。若松と日下部くんは祥が生き残るためになにがあっても捕まらないでね」
「ははっ、おい日下部、身内に敵がいるぞ。どうする?」
頑ななお兄ちゃんに若松先輩のこめかみがピクピクと動く。
急に話を振られた日下部くんは肩を上下にビクつかせて会話に入った。
「そ、それなら橋本さんたちがペアになって、僕と若松先輩はバラバラに行動するのはどうでしょうか…?ここで立ち往生していても進みませんし…」
「おっけーそれでいこう」
話の途中だというのにお兄ちゃんは私の手を引いて歩き出してしまった。
その姿はまるでいち早くここから離れたいようで…



